特別な車両のマナー
地球だより
先日、家族4人で、ニューヨークから首都ワシントンまで長距離列車アムトラックに乗った時のことだった。乗車後間もなくチケットのチェックにやって来た乗務員は、生後5カ月だった筆者の娘を見つつ、「泣き声を出さないようにくれぐれも気を付けて」と言ってきた。
そう言われても泣くときは泣くのだけれどと、その若い黒人女性のきっぱりとした言い方に戸惑いを感じたが、なるべく泣き声を出さないように努めた。
しばらく経(た)ってから、売店で買い物をしに別の車両に移ろうとした時、出入り口のドアに「クワイエット・カー」と書かれてあることに気が付いた。つまり、その車両は静かな環境で読書や仕事をしたい乗客向けだということだ。それで乗務員の言葉に納得がいった。
電車に乗る時、発車するホームが出発の約5分前にアナウンスされたので、乗り遅れまいと急いで乗車した。そのため、その表示を見落としてしまったのだ。
米国人でも間違って乗ってしまうことがあるようだ。2015年には共和党の大統領選候補の一人であった当時のクリスティー・ニュージャージー州知事が、それとは知らずにクワイエット・カーに乗り、携帯電話を使って大声で話をし、乗務員から注意を受けて別の車両に移動させられたという。
幸い、娘は大声を出さず、動きたい盛りの2歳の息子も4時間近い乗車時間の大半を寝ていてくれたので、マナー違反でトラブルにならずに済んだ。
この車両には、静かに読書をする人やパソコンを広げて仕事をしている人たちが乗っていた。思いがけない形で知ることになったが、1人でアムトラックに乗る機会があれば乗ってみてもよいかと思う。(Y)