エビと棒付き飴の意味するもの


地球だより

 最近、現地の人気バラエティ番組で「ヒポン・ガール」なる女性が注目を集めているのを知った。日本でも自分の容姿を自虐的な笑いに変える女性芸人がいるが、フィリピンにも似たような芸風のコメディアンがいるのだ。

 さて、ヒポン・ガールとはどういう意味なのか? ヒポンとは現地の言葉で「エビ」を意味する。日本的に考えれば、とても魅力的で美味(おい)しそうな女性かと思うかもしれないが、実はその逆でネガティブな表現だ。

 エビは尻尾など体の部分は食べられるが、頭部は食べられるところがない。つまり体のスタイルは抜群だが顔が残念な女性を指す、少し差別的な意味が含まれる表現なのだ。

 テレビで人気を集めるヒポン・ガールは、司会者の男性を見下ろすほど長身のモデル体型でスタイル抜群だが、親しみやすい庶民的な顔立ちが特徴だ。もともと素人として番組内のコンテストに出演したが、ユニークな話し方も相まって一躍注目を集め、レギュラー出演者になった「シンデレラ・ガール」でもある。

 それではヒポンとは逆に、顔は抜群だがスタイルは残念な女性を指す言葉は果たしてあるのか? 素朴な疑問をフィリピン人の友人にぶつけてみたところ、それは「ロリポップ」だと回答された。ロリポップというのは、いわゆるチュッパチャプスに代表される棒付き飴のことで、エビとは逆に食べられるのは頭の部分だけである。

 エビと同じく食べられる部分で判断しているのが、なかなかエグイ。非常に的を得ていると納得したが、使う場合には冗談が通じる相手の見極めが必要なのは言うまでもない。

(F)