警官の給与倍増で思わぬ苦情


地球だより

 フィリピンではドゥテルテ大統領の強い意向で、警察組織の腐敗対策のために警官の給与が一気に倍増された。大統領の鶴の一声で、約1万5000ペソ(約3万円)だった一般的な警官の月給は、約3万ペソ(6万円)へと跳ね上がり、国内で破格の高給取りとなった。

 しかしこれが理由で、警官への意外な苦情が殺到しているという。警察の発表によると、2017年の苦情は約200件だったが、給与が倍増された2018年には300件を超える苦情が寄せられ、約40%の増加を示した。

 なんともフィリピンらしいのが苦情の内容である。その多くが警官と別居している妻や愛人からのもので、子供の養育費などの経済的な支援を求める内容だったという。

 給与が大幅にアップされたことで、経済的な余裕がなく支援できないという言い訳が通用しなくなったというわけだ。

 ちなみにフィリピンでは基本的に離婚が認められないことから、複雑な家族関係が極めて多い。特に元カレや疎遠になった夫などからの経済的支援を期待できない、若いシングルマザーがとても多いという印象だ。

 警察当局者は、「まずは家族の面倒を見る必要があります」と指摘し、警察組織内の責任分担だけでなく、自分の子供に対する責任も果たすよう警官たちに強く求めている。

(F)