路地裏パワー、運河の早舟


地球だより

 バンコクは繁華街やビジネス街の表通りの活気は半端じゃないが、路地裏も結構、にぎわっている。それは駅前といえどもシャッター街が続き、子供が路地裏で遊ぶこともまれになった日本とは好対照をなす。

 その路地裏では子供たちが洗面器で闘魚を戦わせていたりして、異国情緒を感じることがある。さらに路地裏が水路の船着き場になっていたりして、露店も出て結構なにぎわいだ。

 なお下町の代名詞でもあるランカムヘンから官庁街のある民主記念塔前まで約20キロを結ぶ運河を利用したスピードボートがある。

 今でこそ、スカイトレインが走ってランカムヘンの住人が2時間近いバス通勤を強いられることはなくなったが、それまでは朝夕のラッシュ時など、大体5分刻みで運航しているスピードボートが重宝されたものだ。スピードボートだと大体、40分程度で十分だ。「時は金なり」のビジネス社会を陰で支えた縁の下の力持ちでもあった。

 ただ、狭い運河を高速で飛ばすスピードボートの欠点は、ヘドロを含んだ飛沫(ひまつ)を浴びることと、時折足を滑らせて運河に落ちる乗客がいることだ。

 スピードボートにハイヒールで乗るOLがいたり、雨が降ると滑りやすくなるから、運河に落ちるリスクがあるのは仕方がない。だが、飛び散る飛沫の方は、乗客の努力次第で防げるようになっている。

 船の両脇にカバーがあり、紐に近い8人の乗客が紐を引くとカバーが上がる構造になっていて船内共同体を形成することでブロックできるのだ。

(T)