選挙中、ニセの検問に注意


地球だより

 フィリピンでは5月の中間選挙に向け、徐々に緊張を帯びてきた。日本でも選挙に演説合戦などは付き物だが、フィリピンでは銃弾や手榴弾(りゅうだん)が飛び交う選挙戦が繰り広げられるため、地域によっては治安が著しく悪化するのだ。

 このほど中央選管は1月13日に選挙期間に入ったことを受け、各地に設置される検問についての注意を呼び掛けた。検問は主に一般市民の拳銃の持ち運びを禁止する銃規制を徹底させるためのものだが、治安が著しく悪い地域では候補者の暗殺などを未然に防ぐ意味合いもある。

 そして中央選管が呼び掛ける注意とは、ニセの検問に関するものだ。驚くべきことにニセの検問を設置して車両を停車させ、悪さを働くニセ警官が出没するという。

 見分け方についてだが、正規の検問では明るい場所に設置された大きな表示板に、担当する警官と選管職員の名前を記す必要がある。

 また、検問を行う警官も正式な制服を着用する義務があり、サンダルやスニーカーなどを履いている場合はニセ警官の可能性があるというのだ。

 さらに、検問の警官は車外から目視するだけで、運転手にドアやトランクを開けさせる権限はないことも強調した。

 これは悪徳警官が違法薬物などをトランクに放り込んで、無実の市民を容疑者に仕立て上げ、恐喝する「セットアップ」という手口が、以前、問題になったためだ。治安維持のための検問までが、犯罪に利用されてしまうのがフィリピンの現状だ。

(F)