車の運転は危険がいっぱい


地球だより

 アラブ音楽を学びに定期的にやって来る邦人ミュージシャンの一人が先日、「エジプトで運転しているなんて、尊敬しちゃいます」と褒めてくれた。

 確かにエジプトの交通事情は日本からは考えられないほど危険に満ちている。

 まず、基本的に歩道がない。歩行者は高速道路であろうが、交通量の多い大道りであろうが、走行中の車をよけながらスルスルと渡り歩いている。運転する側から見れば、いつも歩行者に注意を払わなければならない。

 歩行者以外にバイクや中国製3輪車トゥクトゥクが、平気で逆走してきたり、急接近してきたりしてヒヤヒヤさせられる。小学生のような子供がトゥクトゥクを運転している時もある。さらに、馬車やロバ車がのろのろ走っている。故障車や、主要交通手段のマイクロバスが道端に多く停車している。

 最近、特に目に付くのが路上の「穴」だ。マンホールの周りは大概がくぼみ、ふたが傾いたまま放置されているものも多い。うっかり踏めばパンクしかねない。さらに、至る所に大きなくぼみがある。前方に注意どころか目前の「路面注意」が必須なのだ。

 電力事情から街灯のついていない道路も多く、夜は特に危険度が増す。車線どころか、中央分離帯さえ見分けられないほどの暗さが支配する。時々、中央分離帯に乗り上げている事故車を見る。

 注意を要する箇所があまりに多く、「障害物レース」をしているような感覚に襲われる。

(S)