厳戒の教会でクリスマス
地球だより
エジプトではキリスト教徒が人口の10分の1を占めるとされ、総人口が約1億人に達しようとしている現在、1000万人ものキリスト教徒がいることになる。
しかし、エジプトのキリスト教であるコプト教徒は、東方教会系であることからクリスマスは12月25日ではなく、お正月を越えた1月7日になるので、12月の時期にクリスマスの雰囲気はない。
せめて西欧系の教会ならクリスマスを味わえるのではと思い、今年はイブの夜、英国聖公会系の教会を訪ねてみた。
すると、何と驚いたことに教会周辺の路上には警察車両が数台配置され、警官が多数、動員されていた。厳重な警戒が敷かれており、年々その厳重さが増しているというのだ。駐車も駄目で、車をわざわざ遠くに止めなければならない。
信徒らは、臨時に設置された検問所で手荷物の検査を受けていた。自分の教会に入るというのに、他人である警備員にチェックされなければならない。イスラム過激派による襲撃に対し自己防衛を固めているのだ。
それでも、いざ教会内に入ると聖歌隊が元気に合唱し、子供たちは頭にすてきな紙製の赤い帽子をかぶって元気に飛び回っていた。会場の雰囲気も高揚し、日頃の少数派の鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように拍手も力強く感じられた。
今日、中東のキリスト教は受難の中にある。シリアでは、過激派組織「イスラム国」(IS)などの攻撃を受け、キリスト教徒が近隣諸国や欧米各国に避難して半減している。エジプトでもシナイ半島の信徒たちが国外逃亡している。
(S)