一夫多妻制度の功罪
地球だより
イスラム世界の諸国が、他の国々と著しく異なる文化として一夫多妻がある。1人の男性が妻を同時に4人まで持てると法律で保障されているのだ。もちろん、4人を平等に愛するとの条件があるとはいえ、現実はどうしても不平等にならざるを得ないとの話も多々聞く。
先日、友人のあるエジプト人女性が従兄弟の第2夫人として結婚した。最初に結婚した夫による日常的な暴力に耐えかね、3人の子供を連れて離婚した。
実家に帰った彼女は生活費を得るため、子供を両親に預け、単身、サウジアラビアに渡り英語の教師をして稼ごうとした。エジプトでは女性の給料は安く、とても3人の子どもを抱えて生きることはできないためだ。
半年後、夏休みにエジプトに戻った彼女は、4歳の末の子が泣いて彼女から離れない姿に触れ、末っ子だけを連れてサウジに渡ろうとしたが、ビザが下りず、結局、昔、求婚され、嫌いで断った従兄弟の、しかも第2夫人として嫁がざるを得なくなったのだ。彼女の心境は察して余りある。
また、別の女性は、大学時代の同級生と結婚し、彼がエジプトの将来に失望して外国へ移住しようとしたことに反発して離婚。その後2人の子持ちの男性と結婚したが、夫のイスラム価値観の締め付けに耐えかねて再度離婚した。その女性に、一夫多妻の是非を問うたところ、それは是だと答えた。
私は驚いた。しかもイスラム世界では、第2、第3、第4夫人とはいえ、結婚した女性の方が、結婚しない女性以上に尊敬されるというのだ。
(S)