半導体戦争
アリババは中国最大の電子商取引会社だ。英語の講師だった馬雲(ジャック・マー)が創業した。馬雲は1964年、浙江省杭州市で生まれた。そんな因縁のためなのか、アリババは杭州の半導体企業を買収した。買収した企業はC-SKY(中天微)だ。この事件をめぐって世界の半導体業界に緊張が走った。“半導体戦争”を告げる信号弾であるためだ。
熱気を帯びる人工知能(AI)開発戦争。インターネット・スマートフォーン時代にしっかりと利益を上げた企業の中で、人工知能開発に参入しないところは珍しい。フェイスブック、アマゾン、グーグル、アップル…。全て莫大(ばくだい)な資金を投入して開発に乗り出している。アリババはむしろ後発企業だ。それだからなのか、投資にはいっそう熱心だ。昨年、研究センターの「達磨院」を設立して3年間に150億㌦を投入することにした。目標は「人工知能」半導体の開発だ。イメージとビデオを識別し、データを分析して状況に合った回答を自分で見いだす人工知能半導体は、第4次産業革命の核心だ。「半導体崛起(くっき)」を宣言した中国。馬雲まで参入したので、どんなことが起こるか分からない。
馬雲はなぜ海外の良い企業を差し置いて中国の企業を買収したのだろうか。中国系資本のシンガポール半導体大手ブロードコム(4月4日に登記上の本社を米国に移転)の米クアルコム買収を拒否したトランプ米大統領。馬雲はこんなふうに考えなかっただろうか。「時間がない。中国の企業でも買収して始めなければ、永遠の敗者になってしまう」。“寸刻を争う”世界の半導体競争を確認させられる。
“半導体強国”韓国。ネーミングはいい。しかし、人工知能半導体の競争力では馬雲とあまり違いはない。“国家経済”をもって見るなら、誰が世界の競争に乗り出すことができるだろうか。ベンチャー企業では、数百億㌦を投入する世界的な企業に対抗できない。やはりサムスン電子、SKハイニックスをはじめとする既存の半導体の強者と大企業が請け負う以外にない。
おかしな事が一つ起こっている。サムスン電子半導体工場の作業環境測定報告書を公開するようにという雇用労働部(部は省に相当)の決定だ。産業技術保護委員会の半導体専門家はこう語る。「中国に食膳を整えてやろうというのか」。半導体の没落は即ち、韓国経済の没落を意味する。政府の公務員の目にはなぜ“半導体戦争”が見えないのだろうか。
(4月24日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。