危ないのは欧米も同じ?


地球だより

 エジプトで2011年1月に始まった「アラブの春」運動による治安悪化を受けた観光客減少が、今年10月から徐々に変わりつつある。

 日本の大手旅行会社と契約を結ぶある現地旅行会社によると、11月には久しぶりに100人を超える団体客が、ナイル川クルーズを含むカイロ・ギザ見学に訪れ、現地のホテルやバス業界に笑顔が戻り始めたという。

 邦人旅行者にその理由を聞いたところ、「イスラム過激派によるテロ事件が皆無になったわけではないが、欧米でもテロが頻発、相対的に中東地域における治安不安が薄まったことが要因ではないか」との答えだった。「危ないのは欧米も同じ」ということか。

 軍や警察などの治安部隊標的のテロは断続的に続いているものの、観光客標的のテロが格段に減少したことも大きな要因のようだ。

 最近は、クフ王のピラミッドの中に、列車や飛行機の大きさに匹敵する空間がありそうだとの調査結果が発表され話題を呼んだ。ただ巨大な石を積み重ねただけのピラミッドと思っていた記者も、クフ王のピラミッドの中に入り、大回廊や王の間などを目前にした時には、度肝を抜かれるほど驚いたことを思い出す。4500年も前に、これほど巨大でしかも精巧な建造物が建てられたことは奇跡そのものだと心から驚いたものだ。

 東京とカイロを往復する直行便も10月末から運航を開始した。本格的な観光業復活はこれからだ。

(S)