復活したサッカー王国


地球だより

 世界を熱狂の渦に巻き込むサッカー・ワールドカップ(W杯)。その2018年ロシア大会の予選が佳境を迎えようとしている。そうした中、世界の激戦区として注目を集める地域の一つが南米枠だ。ブラジルを除く7カ国が7ポイント差でひしめき合っており、残り3・5枠をめぐる戦いは過酷極まりない。

 一方のブラジル代表は、予選開始当初こそは結果に苦しんだ。しかし、昨年9月、世界王者コリンチャンスを指揮したチッチ氏が代表監督に就任すると、意欲的にシステム変更や選手起用などを行い、怒涛の9連勝で本大会出場権を獲得した。

 ブラジル代表は、必勝を義務付けられた14年のW杯ブラジル大会でドイツに大敗。その後も国際大会でブラジルらしくない敗退を続け、「サッカー王国」の行く末に黄信号が灯(とも)っていたところだった。

 その中での快進撃は、まさに「チッチマジック」と呼んでもおかしくはない。ただ、監督の要望に応えるだけの才能が芽生え、成長していたことも事実だ。

 南米枠は、ブラジル以外にも前大会準優勝のアルゼンチンなど強豪が集う激戦区。そこで連戦連勝を続けてきたブラジルの力は、もはや14年大会時とは別物と言っていい。

 18年ロシアW杯は、「ブラジル大会の雪辱」を果たす場として、サッカーファンが楽しみにしている。日本代表を応援する記者としても、できれば予選で当たってほしくないチームの一つだ。