「大統領の日」は何の日?


地球だより

 米国で毎年2月の第3月曜日は「ワシントンの誕生日」の祝日。初代大統領ジョージ・ワシントンの功績を称(たた)える日だ。今年はキンダーガーテン(日本の幼稚園の年長に相当)に通う娘を連れ、ワシントンが長年過ごしたバージニア州の邸宅マウントバーノンで記念イベントなどを見てきた。

 さて、連邦法で定められた祝日の正式名称は「ワシントンの誕生日」だが、今は「プレジデンツ・デー」の呼び方が定着している。かつてはワシントンが生まれた2月22日が祝日だったが、3連休を増やすために1971年から第3月曜日に移され、「プレジデンツ・デー」の名称が広がっていった。

 ただ、この名称だと、ワシントンではなくすべての歴代大統領を祝う日という印象を与え、実際、そう理解している人が少なくない。祝日の本来の意味が変質してしまったことを嘆く声もある。

 「ワシントンは特別であるべきだ」。トーマス・ディバッコ・アメリカン大学名誉教授はこう主張し、ワシントンを他の大統領と同列に扱うことに反対の立場だ。保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のアーサー・ミリク氏も「ワシントンを(最悪の大統領と言われる)ジェームズ・ブキャナンと混同することは、銅と金を混ぜるようなものだ」と指摘する。

 独立戦争を大陸軍総司令官として勝利に導き、建国直後の困難な時代に大統領として国をまとめたワシントンから、党派対立に明け暮れる現代の米国民は学ぶべきことが多いように見える。だが、この日、各地で「ノット・マイ・プレジデンツ・デー(私の大統領ではない日)」と銘打った反トランプ集会が行われるなど、もはや何の日なのか訳が分からない。

(J)