まめな名刺交換が大切
地球だより
トランプ次期米大統領が新政権の中枢を担う人材集めを進める報道を見聞きしながら、ワシントンほどこまめな人脈づくりが大事な場所はないと改めて実感する。今まで名刺交換したり、取材・インタビューしてきた人たちが政権入りするうわさが続々と出ているからだ。
米国では政権交代が起きると、ホワイトハウスのスタッフだけでなく、各省庁の幹部がごそっと入れ替わる。その数、3000人に上るといわれる。政府の人材は民間のシンクタンクや企業などに移り、民間の人材は政府入りしていく。政権交代を機に官民の人材が入れ替わるこの制度は「回転ドア」と呼ばれる。
オバマ民主党政権下で8年間、野に下っていた共和党関係者にとって、トランプ政権の誕生は待ちに待った政権入りのチャンス。新政権でポストを得るには、有能なだけでなくコネや運も重要になる。
2年くらい前、レセプションで共和党下院議員の下で働く30代くらいのスタッフと名刺交換した。その後、ばったり出会ってランチを共にしたり、事務的なメールのやりとりをすることがあった。この1年近くは連絡を取っていなかったのだが、いつの間にかトランプ氏の上級政策アドバイザーになっていたことを知り、仰天した。上司の議員のコネでそのポストに就いたと思われるが、新政権でもアジア外交や安全保障関連の要職に就く可能性がある。
このようにワシントンでは突如出世することが少なくない。今は無名でも将来どのような要職に就くか分からない。ワシントンではこまめな名刺交換が欠かせないのである。
(J)