米価低落の余波


地球だより

 米価下落がタイのコメ農家を直撃している。中部ピシット県では、借金が返済できないとしてコメ農家の男性が首つり自殺した。政府は北部と東北部のコメ農家救済策として200億バーツ(約600億円)の投入を決定。これに対し他地域コメ農家から強い不満の声が上がったことから、政府はさらに180億バーツ(560億円)もの追加支援を決めた。

 しかし、財源が限られている中、コメ農家支援のために国庫を空っぽにするわけにはいかない。プラユット首相は7日、国家コメ政策委員会の会合で議長を務めたあと、「国家予算は国民全員のために使うものであり、コメ農家は政府の金銭的支援に頼ってばかりではいけない」と自助努力による再起を促した。

 こうしたコメ価格下落に伴う農家の収入減少をサポートするため、民間シンクタンクなどは根本的な解決策として減反を提言。国を挙げて作付面積を減らす必要があると断じた。

 政府は減反を実現するためコメ農家にサトウキビやトウモロコシに切り替えるよう奨励した。ただ、これらの作物は安価で農家に入る収入が少ないため成果が上がっていないのが実情だ。

 なおタクシン元首相の妹のインラック前首相は東北部のウボンラチャタニ、スリンの2県を訪れて農家からコメを購入。さらに、購入したコメを都内のショッピングモール前で、キロ当たり20バーツ(約60円)という購入価格で売った。これに対しプラユット首相は「政治家も農家からコメを買うのは自由だが、自身のイメージアップに利用すべきでない」と苦言を呈している。

(T)