新年度予算めぐる攻防


地球だより

 米連邦議会は6日、7週間にわたる夏季休会を終えた。米議会は上院が共和党54人、民主党46人、下院が共和党247人、民主党186人で、共和党が両院を主導している。議会の差し迫った課題は、10月1日から始まる新年度向け歳出予算を承認することだ。歳出予算が承認されなければ、政府は一時閉鎖に追い込まれる。共和党の当面の目標は、政府の一時閉鎖を回避することである。

 11月8日には大統領選、議会選などの投票がある。投票日の1カ月前に政府が一時閉鎖になれば、どうなるか。政府の業務が停止して一番困るのは一般国民だ。国民の怒りはワシントン、特に共和党主導の議会に向けられることになる。共和党に不利な選挙結果になりかねない。

 民主党は政府一時閉鎖を武器に、予算折衝で共和党から最大限の譲歩を勝ち取ろうとする。選挙を前にした議会、あるいは新政権発足前のレームダック議会では、選挙区に利益を誘導する歳出法案が増える傾向がある。歳出削減、小さな政府を目指す共和党保守派はこれを回避するため、本格的予算折衝を新政権発足後に延期したい。このため、6カ月間という長期の継続予算決議(CR)で本格的予算折衝を来年春以降に先送りすることを狙う。

 CRは歳出予算が成立しない場合、政府一時閉鎖を回避するため、妥協策として前年度の歳出レベルをそのまま継続する措置だ。半面、共和党内には大統領候補ドナルド・トランプ氏の不人気の故に、党が議会で過半数の議席を失うのではないかという不安があり、党が議会の主導権を持つ年内に歳出予算を成立させるべきだとの見方もある。

(K)