ピオネール・キャンプ復活?
地球だより
ロシアの子供たちの夏休みは長い。だいたい70日程度だから、2カ月以上である。実にうらやましい。
その子供たちの夏休みの舞台は、白樺の生い茂る深い森の中にある合宿施設だ。サマーキャンプと呼ばれるプログラムで、親元を離れ、さまざまなイベントに参加する。
スポーツをしたり、池や湖で泳いだりボート漕ぎをしたり、映画、音楽、絵画などの芸術活動もある。夜になるとディスコ大会が行われる。
これは、ソ連時代にあったピオネール(共産主義少年団)・キャンプが姿を変えたものだ。10歳から15歳の子供たちが対象で、軍隊のような規律の中で共産思想を学ぶ、夏の集団教育プログラムだった。
ただ、規律は厳しいものの、さまざまなレクリエーションも行われ、夜になるとキャンプファイアでフォークダンスを踊った。ソ連の子供たちの夏休みに欠かせない一ページだった。
このピオネール・キャンプから、軍隊並の規律と政治色を無くし、レクリエーションを充実させたのがサマーキャンプであるはずだった。しかし、最近はプーチン政権の「愛国教育」プログラムの影響で、ピオネール・キャンプを彷彿とさせる、少々偏った“愛国教育”が取り入れられたりしている。
それでも子供たちにとっては、同世代の仲間と一緒に過ごす、無くてはならない夏の恒例行事。あまり余計なことをしては欲しくない、と思う親も少なくないのでは。
(N)