増える無神論の若者
地球だより
先日、あるエジプト人女性が緊急のメールを送ってよこした。あるイスラム指導者に脅されたという。嫌悪感を覚え、悔しさのあまり両親に泣きつき、過激主義者の一面を見たとして怒り心頭に発しているのだ。
そのイスラム指導者は、アブラハムの宗教(ユダヤ教とキリスト教、イスラム教を指す)に従う者のみが天国に行くことができ、世界中のすべての人々はいや応なしにイスラム教徒になり、イスラム法を読むようになると主張。それを怠れば、永遠の地獄に行くと語ったそうだ。最近世の中を騒がせている過激派組織「イスラム国」(IS)の恐怖支配ぶりを髣髴(ほうふつ)させるやり方だ。
宗教指導者は本来、信者が本心から納得して人間としての本来歩むべき道を歩み始めさせるべきあろう。それを脅して受け入れさせるのは全くの本末転倒で、脅さなければ導けないという、その宗教の限界を露呈しているようなものだ。
もちろん、宗教だけが脅しの側面を持っているわけではなく、現在の北朝鮮や中国の習体制もかなり恐怖政治化しているようだ。
宗教の持つもう一つの問題点は、信仰が背景にあるだけに、自分の信じる宗教・宗派だけが正しいと主張、独善・排他に陥りやすいことだろう。
中東地域は、信仰が生活に深く入り込んでいることから、宗教・宗派間の争いが激しく、これが内戦や地域間紛争に発展しているのだ。
だから最近、その現状を嫌う若者が増え、イスラム教を離れるのみならず、無神論を主張する若者が増えているそうだ。イスラム教の終末観や天国・地獄観も科学的観点からは素直に信じられないことも理由の一つのようだ。
(S)