いたちごっこの露店禁止
地球だより
ベトナム随一のビーチ・ニャチャンでは露店は禁止されている。露店で購入した炭焼きイカや貝に当たって腹を壊したり、ぼったくられたとの被害が絶えないためだ。
そのためビーチでは定期的に公安による取り締まり巡回が恒例となっている。だがその効果は上がっていない。
というのも露店を営む若者たちは大体、スマートフォンを持っており、巡回が始まると一斉に警戒メールが発信されるからだ。そのメール着信と同時に店をたたみ、品物だけ物陰に隠す。スマートフォンを持っていない老人たちも、近くの露店主のそうした動きから同じ行動をする。そして何事もなく巡回チームをやりすごすと、さっと品物を出して元の生業(なりわい)に戻るのだ。
だから巡回チームは、5分か10分程度、ビーチの露店販売をストップさせるだけで、露店そのものを排除するパワーは発揮し得ていない。
これが幾度となく繰り返される光景は、寄せては返すビーチの波のようでもある。
そして3月、ニャチャン市人民委員会はしびれをきらしたのか、物売りや物乞いの取り締まりに特化した「524部隊」を発足させた。さらに市民から情報を得るホットラインを開設。良質な情報提供者に対しては、1件につき10万ドン(約490円)の報奨金を贈るという。だが、この効果も疑わしい。なにせゲリラ活動でベトナム戦争に勝った国柄なのだから、権力の脇をくぐる庶民のゲリラ活動は筋金入りだ。
(T)