イスラム女性の苦悩


地球だより

 イスラム過激派によるテロが世界化し、イスラム教徒に対する裁きの目が険しくなっていることもあってか、イスラム教徒の若い女性の間に、イスラム教の教えが、本当に正しいのか否かと、疑問を持つ人々が増えているようだ。

 20代前半のあるエジプト人女性は、死後の世界や終末観についてイスラム教が主張することは本当に正しいのだろうかとの質問をぶつけてきた。他の宗教から見て一体どうなのかという質問だ。

 彼女は、両親が穏健なイスラム教徒でオープンな性格を有する人であることから、へジャブを被ることもなく、自由に振る舞うタイプであるがゆえに、彼女の務める会社の同僚から、へジャブを被らないと地獄に行くとか日々、脅迫されているという。その同僚はムスリム同胞団員だという。

 彼女は、イスラム教の教えに固まったエジプト人とは、窮屈すぎて結婚したくないと訴え、できれば自由な発想を持つ、欧米人と結婚したいが、そうすると「相手はイスラム教徒のみ」とのイスラム法に引っ掛かる可能性もあり、地獄行きになるとの恐怖が忍び寄るという。

 彼女の本音は、欧米人と結婚した後は、イスラム教を忘れたいということなのだが、「転教・棄教は死」とのイスラム法を前に実に深刻な悩みに陥っている。彼女によれば、同様の若い女性が増えているという。

 シリアなどアラブ・イスラム圏からの欧米への難民・移民の中にも、同様の動機を持つ若者も多々いるのかもしれない。

(S)