警官給与上げて治安改善?
地球だより
5月に行われるフィリピン大統領選を前に、候補者たちはさまざまな公約を発表し、有権者の支持を集めようと必死になっている。中でもとりわけ注目を集めているのが、現ダバオ市長のドゥテルテ氏が掲げる公約だ。
同氏はミンダナオ島あるダバオ市で、非合法の処刑部隊を陰で操り、国内有数の治安が良い都市にしたという功績で有名な人物。彼に期待する有権者の多くは、その手腕で犯罪が多発するマニラ首都圏の治安を劇的に改善してほしいと願っている。
そこで問題となるのが警官の腐敗だ。日本に比べ警官が関与する犯罪が驚くほど多く、時には外国人観光客が恐喝されることすらある。警官自体が治安悪化の元凶になっているという笑えない状況で、これでは犯罪を劇的に減らせるわけがない。
このほど同氏が発表した公約は、警官の給与を大幅にアップして腐敗を防止し、犯罪対策に集中させるというもの。注目を集めているのはその額で、何と今の5倍以上に相当する7万5000ペソ(約19万円)から10万ペソ(約25万円)というから驚く。
フィリピンといえば「出稼ぎ国家」として有名だが、この給与が実現すれば、わざわざ海外に働きに行く人は減り、警官を目指す若者が急増するかもしれない。とはいえ、多くの金持ち政治家が汚職で逮捕されている現実を見ると、必ずしも経済問題が腐敗の原因とも言えなさそうなのが気になるところ。
給与を増額して汚職も撲滅できないのでは、目も当てられない。世紀の愚策とならないことを祈る。
(F)