同時テロの記憶を後世に
地球だより
先日、米国防総省での取材を終えた後、同省とアーリントン国立墓地の間にある空き地を訪れてみた。現在は何もないが、5年後には「ペンタゴン・ビジター・エデュケーション・センター」という立派な施設がオープンする予定の場所だ。
同センターは、2001年9月11日に国防総省で起きたテロの悲劇を後世に伝えるのが目的で、テロから14年後の今年9月に詳細が発表された。建物の形は国防総省と同じペンタゴン(五角形)で、17年に着工し、20年の開設を目指している。
すでに同省の敷地内には、テロによって命を落とした184人の名前が刻まれた「ペンタゴン・メモリアル」がある。
だが、「ペンタゴン・メモリアル基金」会長のジェームズ・レイチャックさんが、次のような体験から記憶を正確に語り継ぐセンターの建設を決めた。
レイチャックさんが墜落した飛行機の事を小学生たちに教えていると、子供たちは国防総省でのテロは飛行機が突入したものとは知らず、爆弾か何かによるものだと思っていた。そのことにレイチャックさんは衝撃を受け、教育施設の必要性を痛感したという。
米国を震撼させた同時多発テロだが、当時まだ生まれていない子供たちの中には、テロの経緯を正確に知らない子もいるのだ。
センターの建設場所には現在、看板が立っているだけだが、そうした子供たちにテロの悲劇をしっかり伝える場所になることを願う。
(Y)