ドリアンの見分け方


地球だより

 世界一臭い「王様のフルーツ」ドリアンのシーズン真っ盛りだ。田舎の市場でも、ゴザの上に青いドリアンや黄色のドリアンが山盛りになって売られている。

 ドリアンは「悪魔の果物」「禁断の果物」との異名も持つ。こうしたさまざまな呼ばれ方をするのも王様のフルーツならではのことだ。

 原産地はマレーシアやインドネシアが分割するボルネオ島ともされるが、大きさからするとタイ産のものが突出している。タイでは3㌔ものや4㌔ものが、土産品としても人気が高い。

 難しいのは大きければうまいわけでもないことだ。

 うまいドリアンの見分け方だが、まず色は濃い緑、とげは三角が反っていること。さらに究極の選択方法は、持ってみてちょっと「軽い」と感じるようなものを選ぶことだ。そして振ってみて、からからと音が鳴るとさらに良質とされる。その理由はドリアンは発酵食品であって、新鮮さより発酵の具合が味の全てを決めるからだ。

 匂いも強烈に臭いものほどいい。八丈島のくさや同様、臭いものはうまいのだ。「玉ねぎが腐ったような」「鼻にツン!とくる都市ガスのような」芳香には、ドリアンの魅力がいっぱい詰まっている。

 御簾(みす)の奥に鎮座する王様らしく、姿は見えずとも風とともに漂う威風堂々の匂いが漂う。イガイガの外見からは全く想像できないほど、中からはクリーミーな果肉が顔を出す。食べてみると、高級クリームチーズのように一瞬のうちに口の中に広がり“口福感”で満たされる。バンコク赴任後、1年間は食べられなかったなんて嘘(うそ)のようだ。

(T)