共和党の大統領選スタート

Charles Krauthammer米コラムニスト チャールズ・クラウトハマー

クルーズ氏が出馬表明

外交通のルビオ氏が有力か

 【ワシントン】テッド・クルーズ氏が出馬を表明し、ランド・ポール、マルコ・ルビオ両氏がすぐに続く。敵対し、互いに蹴落とし合う戦いが始まる。

 民主党の戦いに時間を無駄にすることは無意味だ。誰もいないのだから。ヒラリー・クリントン氏を止められるものがあるとすれば、神の業だけだ。だが、神も忙しいようだ。クリントン氏を破る可能性がある相手がいるとすれば、エリザベス・ウォーレン氏だけだ。

 では共和党だ。

 第1列

 1、マルコ・ルビオ氏。世論調査では今のところ5%で7位と下の方だ。だが、大幅上昇する可能性はある。

 有利な点-外交は現状では、これまでにないほど重要になってきている。ルビオ氏は今名前が挙がっている候補の中では、ロシアから中国、中東すべてに関して最も精通している。親がキューバ移民で、ジェブ・ブッシュ氏と同様、完璧なスペイン語を話し、2012年の選挙でヒスパニック票を44ポイント失った党から、ヒスパニックに熱心に語り掛けている。

 不利な点(予備選)-移民問題で造反した「8人のギャング」の一人。だが、現在の取り締まり第一という主張は広く支持を得ている。もう一点は、オバマ大統領のように、有権者が、政治経験の浅い1年生議員を支持するかどうかだ。テッド・クルーズ、ランド・ポール両氏もこの点は同じだ。

 主な長所-フレッシュで若く、ダイナミックな個性を持ち、クリントン疲労には十分対抗できる。オッズ3-1。

 2、ジェブ・ブッシュ氏。合意形成型(私個人としては若干懐疑的だが)。堅実で、やわらかい語り口、真面目で、政治経験もある。知事として大きな実績がある。熱意を感じさせない分を実績で補っている。移民と全米共通学力標準に関して多少、非正統的な主張にこだわりがあり、気骨のあるところを示したことがある。

 明らかに不利な点-名前。資金集めに役立つのは確かだが、古い、守旧派のイメージが付きまとう。ヒラリー氏との今回限りの戦いで、新鮮なイメージの方が共和党は有利だが、それは期待できない。オッズ7-2。

 3、スコット・ウォーカー氏。保守派として立派な経歴を持つ。労働組合との対立で指導力を発揮し、三つの選挙で勢いのある民主党員に勝利した。代理として戦った選挙も含めれば5勝だ。

 アイオワ州での熱気のある演説は良かったのだが、以来つまずきが続いている。進化論や愛国主義に疑問を示すなど失敗が続き、「イスラム国」をウィスコンシン州のデモ行進と比較しているようだ。新人にありがちなミスだが、このミスから学べば、皆すぐに忘れる。

 エタノール燃料の義務的使用を認めた。大統領選でアイオワ州が不当に強い影響力を持っていると苦言を呈したスタッフを解雇した。確かに、誰もがアイオワ州には神経を使っているが、ウォーカー氏はプレッシャーと戦っている。

 最も心強い兆候-急上昇後、高い支持を維持していること。数字は安定している。演説は依然、人の心をひきつけている。オッズ4-1。

 第2列

 4、クリス・クリスティー氏。政治家には、重要な節目、機会があるものだが、クリスティー氏は、2012年に機会を逃したのかもしれない。怖いことを知らない、大胆不敵な個性は新鮮味を持って迎えられた。だがそれも、時とともに避けられるようになっていった。そこにブリッジゲート疑惑があり、支持を失い、第1列から脱落した。

 最大の問題は、ジェブ・ブッシュ氏に、思想的、資金的に抑え込まれていることだ。12-1。

 5、テッド・クルーズ氏。壮大で派手な演出と、それに見合った演説で選挙運動を開始した。地盤にしっかり照準を合わせた選挙運動を進めている。強固な支持基盤を築いた。急上昇する可能性がある。特に討論会に注意すべきだ。

 6、マイク・ハカビー氏。知名度は非常に高く、親しみやすく、人気もある。しかし、社会的、文化的に問題があるとみられている。アイオワ州と福音派をどこまで乗り越えられるかが注目点だ。15-1。

 7、ランド・ポール氏。逆境に直面している。オバマ氏が国外で失敗し、恥をかいていることで、ポール氏の非介入主義への国民の支持は下がっている。無人機攻撃に反対し13時間近い議事妨害を行ったが、今なら失敗するだろう。イラン核合意に反対する47人の上院議員の書簡に署名すらした。少数派へのアプローチは今のところ成功していないが、若さという武器がある。

 最重要点-筋金入りの自由主義者であり、影響力も強いが、現状ではたかが知れている。30-1。

 勝算の少ない候補者

 8、カーリー・フィオリーナ氏。基盤を築いている。現在の社会のタブーからみれば、ヒラリー攻撃するには最もいい場所にいるし、実際にそうしてきた。討論会で第1列に入ることができるかどうかだが、難しいだろう。しかし、才能豊かで、自制心もあることから、可能性はある。50-1。

(3月27日)