銃社会の恐ろしさ


地球だより

 先日、国内有数のリゾート地として日本でも知られているセブ島で、外国人観光客が犠牲となる悲惨な事件があり、改めて銃社会の怖さを実感した。

 被害者はファストフード店にいた3人の外国人で、銃撃によりドイツ人男性が死亡し、フランス人とインド人の2人の男性が負傷した。犯人はフィリピン人の男たちで、店内でインド人に差別的な挑発を繰り返し、友人のフランス人を交えて激しい口論となったらしい。男たちは警備員に追い出されたが、しばらくして拳銃を持って店に舞い戻り、いきなり発砲を始めた。

 殺害されたドイツ人は、たまたま店で食事していただけで、ほかの2人とは無関係だったが、外国人だったため仲間と勘違いされ射殺された。フランス人とインド人は銃弾で負傷したが、トイレに隠れて助かった。ドイツ人男性は台風災害のボランティア活動に参加するなど、現地の復興に協力的だった。31歳だった。

 まさに銃社会の恐ろしさを痛感する事件だが、些細(ささい)なトラブルでも銃が持ち出される環境というのは、日本人にはピンとこないかもしれない。この国では「命の値段が安い」と言われるが、やはり簡単に人の命を奪える銃が社会にあふれていることが、その「安さ」に拍車を掛けているように思う。

(F)