保留地での大麻合法化


地球だより

 米国では娯楽用マリファナ(大麻)の合法化がコロラド州、ワシントン州で実現し、他の州にも拡大しようとしている。11月の中間選挙では、新たにアラスカ州、オレゴン州で娯楽用大麻販売を含む大麻合法化提案が承認された。

 米連邦法はこれまで大麻の販売や使用を禁止してきた。膨大な予算を投入して法執行機関が大麻を取り締まっても、状況は必ずしも改善してこなかった。大麻使用、販売を犯罪として抑制するよりも、タバコやアルコールと同じように非犯罪化してコントロールしたほうが有効という考えが広がっている。この考えをまず州レベルで実行してみるという壮大な実験が進行中だ。大麻合法化の公衆衛生、犯罪発生率などへの影響は定かでない。

 ここにきて、オバマ政権は12月半ばにインディアン(原住民)部族に対しては、大麻非合法州であっても大麻の栽培、販売を許可するという新しい方針を打ち出した。全米には566のインディアン部族があり、1855年の米政府との条約で認可された保留地に住んでいる。

 インディアン保留地では住民の半分近くが失業中であるなど、米国内では経済的後進地域になってきた。これまで保留地の経済改善の名目で許可されてきた、カジノ、アルコール販売などは、依存症や犯罪増加といった社会悪をも生んできた。このため、インディアン部族の多くは保留地での大麻解禁は「ありがた迷惑」と考えており、警戒心をもって受け止めている。

(K)