ガザ復興支援は慎重に
地球だより
パレスチナ自治区ガザ地区の復興について話し合う「ガザ復興会議」が、エジプトの首都カイロで開催され、各国から54億㌦(約5800億円)の拠出が表明された。日本は2000万㌦(約22億円)の追加支援を表明した。
パレスチナ住民の惨状には同情を禁じ得ないものの、ふに落ちないこともある。この支援は実質、ガザを実効支配するイスラム根本主義組織ハマスへの支援になり、イスラエルとパレスチナ間の問題解決に結び付かないからだ。ハマスはイスラエルの生存権を否定し、抹殺を意図し、2国家共存など念頭にない。
こんな暴挙を平気でするハマスを支援することは、また戦争を仕掛けさせ、和平を遅らせることを意味する。
百歩譲って、ガザ住民のための支援を認めるとしても、ハマスに対し、イスラエルの生存権を認めさせるか、ハマスを利するいかなる支援も、させない厳重な条件付きで行われるべきだろう。
ハマスの母体であるムスリム同胞団支配のモルシ前政権の悪政に懲りたエジプト人ジャーナリストは、「アッバス議長が(支援の使い道を)コントロールするので何とか認められる」と語ったが、ハマスは都合のいい時にだけ同議長を利用、裏では議長の追放と、パレスチナ全土の支配を目論(もくろ)んでいる。イスラム法の厳格な適用による国家創建の理想は、イスラム国(IS)と本質的に同種であり、警戒を要する。
エジプトでは、12日から大学での授業が始まったが、ムスリム同胞団は早速、学内の治安施設を破壊、デモ行進をして治安部隊と衝突した。信仰に裏付けられた行動は簡単には終息しない。国際社会は今、「過激なイスラム信仰からの挑戦」を受けており、賢明な判断が緊要だ。
(S)