フィリピンで悪化する首都圏の渋滞
地球だより
13日にマニラ首都圏で唯一近代的な交通システムと言える高架鉄道(MRT)が、脱線事故を起こし36人の乗客が負傷した。車両が終点駅で停車せず、そのまま線路の最終地点に突っ込むという、MRTでは有数の大事故だった。
当局によると事故は人為的なミスとの見方のようだ。当時、事故を起こした車両は故障し、別の車両に押されて移動していたが、途中で連結が外れコントロールを失ったらしい。この事故が起こる前から、故障で停車するトラブルが多発し、専門家からは車両の老朽化が指摘されていた。
事故後は安全対策で最高速度を40㌔に制限しており、首都圏の大動脈であるエドサ通りの渋滞を避ける通勤客で、ラッシュアワーには駅から数百㍍の行列ができるありさまなのに、混雑に拍車が掛かり利用者から不満の声が上がっている。
マニラ首都圏の渋滞は悪化の一途をたどっている。人口が増え乗用車が急速に増えているからだ。道路事情も一向に改善されず、ちょっと雨が降れば冠水し、終わりの見えない渋滞が始まる。
フィリピンでは人口が1億人を突破するなど、今後もマニラ首都圏への人口集中は避けられそうにない。早急に新しい交通手段の構築が望まれるが、今の政府には決定的なアイデアは期待できそうもない。この都市で暮らしていくには、うまく渋滞と付き合っていくしかないようだ。
(F)