停電と物価上昇に悩むエジプト人
地球だより
エジプト国民は現在、一様に突然の停電と物価の上昇に悩まされている。停電になるとコンピューターも使えずテレビも見られず、ただじっとしているしかないので、寝るのがせいぜい。しかも予告なしだから対応が難しい。
ガソリン価格も一気に40%以上も上がったため、交通費が高騰している。マイクロバスはほぼ2倍、地下鉄は今までどこに行くにも1ポンド(15円)だったが、距離に応じ運賃が決まる方向で検討されている。
電気、ガス、水道代も、目が飛び出すほど、急激に値上がりした。パンも、今までは基本的に誰でも政府が支援するパンを安く入手できたが、貧困者であることを証明するカードがないと買えなくなったそうだ。肉、野菜も、軒並み上昇しつつある。
しかし国民もなぜガソリン価格が上がるのか、次第に理解し始めている。エジプトは、石油や小麦を輸入している。そのため、外貨が必要なのだが、治安の悪化で観光業が不振であることが外貨不足の最大の原因であることに気付き始めているのだ。
治安悪化の原因は、モルシ前大統領の支持基盤「ムスリム同胞団」による身勝手なデモやテロにあることは誰の目にも明らかで、同胞団は今や、国民からの裁きの目を一身に浴びている。
ある邦人は、エジプト政府は、「エジプトは観光立国である」ことを宣言し、観光を妨げるいかなる行為も厳しく罰するようにすれば「必ず立ち直る」と主張、シシ政権の大英断に期待を寄せている。
(S)