甘いだけがデザートじゃない ータイから


タイのデザートは結構、バリエーションに富む。広大な大地と太陽の恵みをいっぱいに受け、豊かな作物に恵まれているからかもしれない。


 
 まずデザートの素材が実に多様。卵に緑豆、米粉、蓮(はす)の実、キャッサバの根、それにタピオカやココナツなど色や香り、食感も多種多様で繊細なニーズにもいろいろ組み合わせることで応えることができる。

 ただ甘ければいいというだけのデザートではなく、結構細かい心配りがあったりする。

 何よりタイ人は、香りのついたデザートを好む。ジャスミンなどの香りの強い花を水に浸し、香りが移った水を使ってシロップを作ったりもする。

 そのシロップに、味の薄い種や豆を入れて煮込み、香りのあるデザートに仕上げる。密閉した容器の中にケーキやクッキーを入れ、アロマキャンドルをたいて香りを移すこともある。それほどタイ人は香りにこだわりを持つ。

 主食の米だって、香米といってジャスミンなどいい香りのする米の人気が高い。日本だと新米が値段も上だが、タイの米マーケットでは古米の値段が新米より高いというのも珍しくない。

 ワインやブランデーのように米にも何年物といったビンテージ米が存在する。味より、香りを重視するタイ人ならでは米マーケット事情だ。なおタイのデザートは、スパイシーなタイ料理の締めくくりにはぴったりだ。

(T)