「死ぬほど苦しい」、大腸内視鏡検査は痛い?


 健康診断で「便潜血」の結果が出て再受診した。「癌(がん)」の恐れもあるとのことで、消化器科の先生から、大腸の内視鏡検査を勧められた。胃カメラは1度のんでいるが、大腸は未経験。この際、大腸を見るのも悪くない。「はい、受けます!」と勇んで即答した。胃カメラの時は「ゲボッ」として苦しかったが、モニターで見た胃が意外に美しかったのを覚えている。

 「今度、大腸検査する」と、同僚たちに話すと、「腸に空気を入れられ、死ぬほど苦しかった」「2度やったが、あまりに痛かったので、2度目は麻酔をかけた」と、耳に入るのは検査の苦痛ばかり。無邪気に「受けます!」と返事したことに、後悔の念が沸いてきた。

 検査当日、朝から下剤を飲んで大腸をきれいにした後、病院に昼すぎ着く。「ちょっと脈が速いですね」と、血圧を測った看護師。「『死ぬほど苦しい』と聞いて、緊張している」と打ち明けると、「そんなに痛くないはずですが」とけげんな顔。患者の緊張を和らげるため、あえて痛みを否定したのかも、と勘繰ったが、点滴(鎮静剤入り)の効果か、リラックスしてくる。

 車椅子に乗って、いざ、検査室へ。左側を下にし先生にお尻を向ける態勢で、ベッドに横になった。「さあ、始めます」と先生。空気の注入があるのか、と思いきや、いきなり内視鏡が進入してきた。直腸、結腸そして虫垂まで進む。が、まったく痛くない。内視鏡は引き返しながら、発見したポリープ2個の組織採取を行う。わずかに血が出たが、それも無痛。頭上のモニターで30分余りその様子を見ていると、胃と同じく、神秘的で美しい。子供の頃、テレビで見た『ミクロの決死圏』を思い出した。

 組織検査の結果は「良性」。同僚たちの〝脅し〟はいったい何だったのか。先生の腕がいいのか、医療技術の進歩か。「2、3年に1度検査を受けるといい」と先生。ちょっとだけ懐に痛みが走った。(森)