台所の必需品クロックヒン ータイから
タイの台所には、大体クロックヒンがある。
クロックとは、「叩(たた)く」「砕く」「すり潰(つぶ)す」などの機能を持つタイの調理器具で、クロックヒンはクロックの中の一つで「石製」でできているものをいう。
ゴマすり陶器のような構造になっていて、すりこぎ棒で調理していく。
地方に行くと早朝や夕方、食事の準備に取り掛かった主婦が台所でしゃがみこんでしきりに手を動かしている光景を目にするのも、このクロックヒンでタイ風スパイスを調合中といったことが多い。
日本食は野菜などの素材の味を生かすことが基本にあるような気がするが、暑さが並みではない東南アジアでは極上唐辛子のようなプリックキーヌーやハーブなど香辛料を多用して食欲を刺激するのが料理のベースにある。
そのためクロックヒンというのは、台所の必需品というわけだ。
なお石製だけでなく、他にも「素焼き」や「木製」のクロックもあるが、どっしり重い石製の方が安定度が高く使い勝手がいい。
そうはいってもバンコクなど都市になると、台所そのものがないアパートが結構、存在する。
近郊の屋台などから総菜と炊き立てのご飯を購入し、ビニール袋に入れて帰って家で食べるという生活スタイルが定着しているからだ。
その方が便利だし、少人数だと結果的に安くついたりもする。
(T)