実力主義で五輪9連覇ー韓国から


地球だより

 コロナ禍で徹底した感染防止策が不可欠となり、無観客という異例の展開となった東京五輪だが、始まってしまえばメダルラッシュに日本中が沸き、塞ぎがちな国民の気持ちが明るくなっているのも確かだ。この非常事態で本当に開催できるのか? と疑念を抱いていた韓国でも、いざ自国選手のメダル獲得ニュースが飛び込んでくると盛り上がる。

 中でも話題は韓国初の開催となった1988年ソウル五輪から今回まで実に五輪9連覇を果たしたアーチェリー女子団体の活躍だ。標的中央の最高得点10点に次々と矢を射貫くテクニックは仰天もので、混合団体と女子個人でも金メダルに輝いて五輪アーチェリー初の3冠を達成した選手をはじめその実力は際立っていた。

 気になるのは強さの秘訣。韓国メディアは「徹底した実力主義」を挙げている。豊富な練習量や科学的練習法の導入はもとより、年齢や経験に関係ない公正な基準を設け、実力順に出場機会を与えてきたという。他の国が韓国の強さに目を付け、韓国人指導者を引き抜いていった後も韓国の牙城が崩れることはなかったというから大したものだ。

 韓国アーチェリー界の実力主義は長年、縁故主義がはびこってきた韓国社会の弊害をなくすモデルにもなり得るため、注目されそうだ。

 実力があっても上司に気に入られなければ出世の道が絶たれるような社会の息苦しさに、今韓国の若者は辟易(へきえき)しているのだから。

(U)