怒る公務員たち
「首領が民のためにいるのか、民が首領のために生まれたのか。民が穀物と服地を捧げて首領に仕え…脂と血と津液と骨髄を全て無くして首領を太らせているので、民が果たして首領のために生まれたのだろうか。そうではない。首領が民のためにいるのだ」
茶山(タサン)・丁若鏞(チョンヤギョン)(茶山は号)の生家前の花こう岩に刻まれた文だ。与猶堂全集『原牧』の文だという。輝く茶山精神を込めている。生家に行くたびに何度も読んでいる。朝鮮を照らすソンビ(在野の学識ある人士)精神はそのようなものであろうか。
原牧の文は『牧民心書』の主題でもある。17年の流刑生活を解かれた茶山。故郷の南楊州トゥムルモリ(両水里)に帰ってきて『牧民心書』を完成した。1行1行に清廉で有能な首領はどうしなければならないか、珠玉のような言葉がぎっしり詰まっている。同書の戸典6条にこんな文章が出てくる。「上流が濁っているので下流は清くなり難い」。首領が物事の理に暗ければ地方の役人は腐敗し、民は脂と血、津液、骨髄を絞り出す。腐敗した頭が腐敗の根源だという意味だ。腐敗した首領が誰を罰するというのか。
韓国土地住宅公社(LH)の土地投機の波紋が国中を覆っている。火の粉は中下位の公務員に燃え移った。政府・与党はついに公職者財産登録の対象を9級公務員まで拡大することにした。ついにきれいな国がつくられるのだろうか。
権力を持たない下位公務員はどう思うだろうか。公務員社会の至る所が煮えくり返る火鉢に変わりつつある。公務員労組も反発している。「過ちはとんでもない人が犯し、なぜ私たちに責任を負わせるのか」「与しやすいのが、下位公務員なのか」「小学校の教師がどんな土地情報をもっているというのか」。
財産登録をしなければならない中下位の公務員と公企業の役員・社員は約110万人だ。彼らを監視しようというのか、それとも選挙を控えてしでかすショーなのか。何のための財産登録なのか。中下位の公務員たちにとっては土地投機の監視装置だが、高位公職者の財産登録は何なのか。出世街道に進む飛び石のような性格が強い。住宅賃貸借3法発表の1日前に自分の家の保証金を14・1%も引き上げた“恥知らず”の大統領府政策室長。こんな濁った上流の水もろ過できないで、どうして下流の水のせいにだけするのか。
(3月31日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。