ブレーム・ルック


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 「いい印象を与えるファッションは自分のブランドイメージを高めてくれる」。日本人の有名な著述家、福島哲史の言葉だ。ナポレオンは「人は彼が着た制服の通りの人間になる」と語った。着こなしの重要性を強調した言葉だ。服には人の内面が現れ、おしゃれな服はそれを着た人のイメージを良くする。「着こなしは生き方だ」(イブ・サンローラン)という言葉も同じ脈略だ。

 稀代の脱獄犯、シン・チャンウォンは1999年の逮捕時に着ていた虹のTシャツで話題となった。イタリアブランド、ミッソーニの模造品だが、“シン・チャンウォンTシャツ”として若者層の人気を呼び、“ブレーム・ルック”という言葉が生まれた。物議を醸した人が着ていた服やファッションが大衆に注目される社会現象がブレーム・ルックだ。英単語の「非難する」(blame)と「身なり」(look)の合成語だ。シン・チャンウォンの例を見ても分かるように、ラグビーボールのようにどう転がるか分からないのが大衆ファッションの流行パターンだ。

 2000年にはロビーストのリンダ・キムが使っていたエスカーダのサングラスが大変な人気となった。崔順実受刑者は16年に検察に出頭した際に脱げた片方の靴がイタリアのブランド品(プラダ)だと分かり、さらに多くの憎しみを買った。今年3月には、(未成年女性のわいせつ画像をSNSに流出した)“博士の部屋”を運営するチョ・ジュビンンが送検時に着た紫色のフィラのTシャツが注目された。会社側の憂慮と異なり株価が29・74%も急騰して「ブレーム・ルックが好材料となった」という言葉が生まれた。

 ブレーム・ルックは歴史的に古くからあった。18世紀のフランス大革命期に虐殺などを起こした革命指導者ジャンポール・マラーを暗殺した美貌のシャルロット・コルデーが着ていたドレスとボンネット(帽子)が流行した。08年に8歳の女児を暴行したチョ・ドゥスンが12年の刑期を終えて出所した時に着ていたカーキ色のアウターのせいで登山ウエアのブランドが苦戦している。ネット市民たちは「児童性犯罪者が着た防寒着は絶対選ばない」と言う。これに対し会社側は「ロゴを消すかモザイク処理してから報道して」と訴える。突然、ブレーム・ルックの被害に遭った会社は悔しいはずだ。ブレーム・ルックに敏感な人たちが心に刻むべき言葉がある。「罪びとは憎いが、彼が着た服は憎むな」

(12月16日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。