線路の行き着く先は中印ーネパールから


地球だより

 ネパールでは21日から国内線の運航が再開されたが、空港では体温測定や手指消毒の実施はもとより、行き先によっては書類への署名が必要である他、72時間以内に証明されたPCR検査の陰性結果の提示が義務付けられている。移動もまだまだ簡単でない状況だ。

 さて、ネパールといえば、エベレストに代表される8000メートル級の山岳地帯というイメージが大きいと思うが、南部にはタライ平原と呼ばれている平野部が西から東の国境にかけて横たわっており、実に国土面積の17%を占めている。

 この国の最低標高点もこのエリアにあり、何と海抜70メートルにすぎない。この話をすると意外に思われることも多い。いずれにしても、多くの地域は山岳地帯であり、国内の移動手段は飛行機か長距離バスが一般的だ。

 実はネパールにも鉄道が存在する。とはいっても1路線のみで、それも2013年以来、運行停止中だった。ここにきて18日にインドから列車2編成が引き渡され、早ければ12月半ばにインド東部ビハール州ジャイナガルとネパール南東部ダヌシャ地区クルタを結ぶ広軌の線路で運用が開始される。

 鉄道の歴史に新たな1ページが加わる予定だが、政治的に見れば、インドによる中国の「チベット・ネパール鉄道計画」に対する対抗措置と見ることもできる。ネパールの場合、鉄道の行き着く先は、どこまでも中国、インドの思惑や利権が絡んでいるというのが実のところと言えよう。

(T)