ロックダウンの新年ーイスラエルから


地球だより

 イスラエルはユダヤ暦なので、新年の日付が毎年違い、今年は9月18日の日没から始まった。いつもと違うのは、同時にコロナ禍のため全土でロックダウン(都市封鎖)が始まったことだ。4月の過ぎ越し祭の時にも全土で都市封鎖が行われた。最も重要な年中行事が毎回、都市封鎖と重なってしまったのだ。2度目のロックダウンを行うのは、イスラエルが最初の国だそうだ。

 初めての時は仕方なく従っていた国民だが、政府の経済的援助があまりにも行き届かなかったため、今回は黙って従わない人がたくさんいる。もちろん、罰金も科されるのでうまくかいくぐる方法を人々は見つけている。それは、デモ行動である。

 イスラエルは民主主義国家としてデモ活動を保証している。そのため「これからエルサレムのデモに参加する」と言えば、検問を通過できるのだ。相変わらずエルサレムの首相官邸前のデモは続いており、ほとんどお祭り騒ぎだ。デモの主催者が通りに長テーブルや椅子を並べ大勢で食事までしている。テルアビブの海岸でも、デモと称して人々が集まってパーティーをしている。

 思えば、旧約聖書に出てくるモーセの十戒のくだりでも、不満を募らせたイスラエル民族は金の子牛を神に見立てて、お祭り騒ぎに興じていた。昔も今も、暮らしが辛(つら)くなると集まってデモ兼お祭り騒ぎに興じるところは変わっていないようだ。この状態の都市封鎖がどれだけ効果があるのか定かではない。

(M)