食事を届けるスクールバスー米国から


地球だより

 新型コロナウイルスの流行により春以降、学校が閉鎖されたが、その後もスクールバスは平日の5日間、近所にやって来る。子供を運ぶ代わりに、今では子供たちに無料の食事を届けているのだ。

 バスは午前11時すぎ、筆者の住むアパートの敷地前に来る。そこでバスに乗ってやって来た職員から、親や子供らが順番に食事を受け取る。

 ある時、たまたま子供を連れてその場を通りかかると、食事を配っていた職員から声を掛けられ、もらわないかと勧められた。学校に通う子供だけが対象かと思ったらそうではなく、すべての子供が受け取れるという。

 わが家には1歳と3歳の子供がいるので対象となる。試しにもらってみたが、牛乳、シリアル、パン、ポテトチップスとサルサソース、クラッカー、チョコレートのドリンク、果物などさまざまな食べ物が入っていた。おいしい物もあるが、過度に甘い物や塩辛い物など健康に悪そうなものも幾つかあった。

 この取り組みは、子供の飢餓対策の一環。オンライン教育に移行したことに伴う懸念の一つは、学校に食事を依存している子供たちだ。農務省によると、米国では1100万人を超える子供たちが食料が不十分な家庭で暮らしている。新型コロナによる経済難がこれに追い打ちをかける恐れがあるという。

 バスの食事は収入などに関係なく自己申告でもらえるので、食料に困っていない家庭も簡単に受け取れる。どんぶり勘定にも思えるが、それぐらい大掛かりに取り組まないと、実際に食料難を抱える家庭の子供に行き届かないということなのだろう。

(Y)