パラグアイでの酷暑と蚊の大群と
地球だより
先月、極僻地の一つとして知られる北パラグアイの「チャコ地方」を訪れた。同地に根ざした地域貢献を続けている日本人ボランティアを取材するためだ。
パラグアイには約670万人が住んでいるが、今回記者が訪問した北東部のアルトパラグアイ県は九州とほぼ同じ広さがあるが、そこに住むのはわずか1万5000人。パラグアイ人さえもが訪問を嫌がる僻地だ。
過去の僻地取材を通じて交通の便が悪い場所には慣れているつもりだったが、北パラグアイの交通事情の悪さは想像以上だった。唯一の国道が未舗装で利用に制限があり、主な交通手段はパラグアイ川を利用した船となる。定期便は週1回で小型船をチャーターする以外にない。
特に悩まされたのが酷暑と絶え間なく襲ってくる蚊の大群、それに飲料水や電気の確保の難しさだった。アルトパラグアイ最北端のバイアネグラ市では、送電網が届いていないために街全体が自家発電に頼らざるをえず、市民らは通常の数倍もの電力料金を負担していた。また、日本人ボランティアらが支援しているという先住民(インディヘナ)の村々では、電気が通っていない場所も多く見かけた。
普段、現代文明にどっぷり浸かっている記者は、一週間近くの取材中インターネットなどの情報に接する環境から切り離され、電気や飲料水などが簡単に手に入る生活の有り難さが身に染みた。北パラグアイの過酷な環境のため、これまでNGOや社会支援団体も常駐支援ができなかったというのもうなずける話だ。そうした中、日本人ボランティアが常駐支援している姿には素直に感動を覚えた。
(S)