違反者にアイデア凝らした罰
地球だより
フィリピンでは、新型コロナウイルス対策に伴うロックダウン開始から、1カ月以上が経過した。政府や自治体が頭を痛めているのは、ロックダウンの主目的である外出禁止の徹底が期間が長くなるにつれて難しくなり、各地で違反者が相次いでいることだ。
国家警察によると、外出禁止を含めた規制違反による逮捕者は全国で13万人を超えた。マニラ市の貧困地区では時間を持て余した住人が、野外でボクシングや闘鶏を始めて人混みとなり、市長が激怒。一切の外出を禁止するトータルロックダウンが導入された。
各地で警官や兵士が違反行為を取り締まっているが、大量の逮捕者を収容する施設がないため、ほとんどの場合は軽い罰を与えて釈放している。この罰にも地域色が出ており、セブ市では地元で有名なシヌログというお祭りのダンスやズンバを踊らせるなど、外出禁止による運動不足の解消を兼ねた比較的軽い罰が与えられている。
それと対照的に、違反者たちに空の棺桶(かんおけ)を担がせて市中を歩かせたり、疑似葬儀として一晩中、棺桶の前に座らされる罰など、新型コロナの恐怖を前面に押し出した罰を与える自治体もある。あとはスクワットや腕立て伏せなど、体育会系の罰が主流のところもあるようだ。
フィリピンの感染者数は横ばい傾向で安定しつつある。しかし、貧困地区や刑務所などで感染者が急増する所もあって、依然として油断できない状況が続いており、ロックダウンのさらなる延長も噂(うわさ)されている。
(F)