“軟禁生活”でストレス


地球だより

 新型コロナウイルスの拡散防止を狙ったルソン島封鎖。開始から2週間が経(た)とうとしているが、軟禁状態の引き籠(こ)もり生活はなかなか辛(つら)いものがある。基本的に外出は食料などの生活必需品の買い出しだけが認められ、各家庭に発行された1人だけ有効の「検疫パス」所持が義務付けられている。なので家族と一緒に買い物に行ったりは当然できない。

 マニラ首都圏の慢性化した渋滞が嫌で、用事がないと外出はあまりしない生活を送りがちだった。しかし自ら望んで家に引き籠もるのと、誰かに強制されるのでは、やはりストレス的に大きな違いがある。

 そもそもスーパーや薬局など生活必需品を売る店舗を除き、娯楽系の施設はすべて閉鎖。どこも行く所がないのが現状で、政府は「国民を家に閉じ込める」ことに全力を注いでいるのだ。

 各地には移動を制限する検問が設けられ、交通機関も停止し、自家用車がなければ移動は徒歩。ちょっと隣町の友人のところへ行くこともできない。

 面倒だったはずの食料の買い出しだけが唯一の娯楽ではないが、数少ない軟禁生活の気休めだ。ところが入場規制で店外には長蛇の列。しかも徒歩なので、あまり思い切った買いだめができず、やはりここでもストレス。

 封鎖期間はあと2週間ほど残っているが、状況次第では延長の可能性も残されている。多くの人々が封鎖で収入を失っており、コロナ感染よりも生計を失って家族が飢えることを懸念する人々も多いようだ。

(F)