新型肺炎で入管汚職に終止符?
地球だより
フィリピンでは、肺炎をもたらす新型コロナウイルスの感染防止対策で中国からの入国を禁止したため、街の中で中国人を見かける頻度もめっきり減った印象だ。
しかし今頃になって、中国人が急増していた背景に入国管理局の腐敗があった疑惑が浮上し、大きな問題となっている。
ドゥテルテ政権の親中外交により、中国で違法なオンライン賭博を運営する中国系企業がフィリピン国内に急増した。これらの企業は、観光ビザで入国させた大量の中国人を違法に働かせているとして、大きな社会問題となった。
これらのオフィスの周辺には中国人向けのコンビニや飲食店が乱立。フィリピン人の雇用機会を奪っているどころか、中には客としても中国人以外の利用を断る店舗が出現するなど、フィリピン人との摩擦も増えていった。
これに対し司法省は、中国人が入国時に与えられる観光ビザの条件を厳しくする対策を施した。しかし入管はこれを利用し、賄賂と引き換えに中国人の入国を受け入れるという汚職を行っていたのだ。
上院議会で行われた調査委員会では、証人となった入管職員が、約9割の職員が関与する組織的な汚職と証言するなど、入管上層部の関与も指摘されている。結局、この汚職手口は、新型肺炎による入国規制で終焉(しゅうえん)を迎えたが、もし規制がなければ今も続けられていた可能性も大きい。
(F)