息のむ砂漠とオアシスの絶景


地球だより

 アラビア語を学ぶ外国人学生が主催する「オアシスと砂漠の町、ファイユーム日帰りの旅」に参加してみた。現在のエジプトでは、シナイ半島の北部地域を中心に、砂漠に拠点を置くイスラム過激派勢力によるテロが断続的に続いていることから、砂漠一帯が、危険地域に指定されていることもあり、外国人観光客が団体で行ける地域にはなっていない。

 しかし現地のエジプト人からすれば、テロはほんの一部地域に限られていることから、当地は何の問題もないとの認識だ。

 ファイユームは、首都カイロから車で約2時間圏内にある首都から最も近いオアシス。カルーン湖という湖があり、さまざまな野菜や果物ができる緑地帯もある。

 しかし、最も興味を引かれるのは砂漠地帯にある、不思議な形の山や岩だ。

 地層が露出し、大変な迫力。山の頂上は一定の高さで、ピラミッドのような三角山とはなっていない。太古は海底だったというから、それが関係しているのかもしれない。

 車はその急斜面を登り始めた。後ろにひっくり返るのではないかと思うほどの勾配だが、頂上に達すると、眼前に平地が広がった。台地をそのまま進み一方の縁に来ると、眼下には、緑と青と紺青とが織り成す小さな湖が見えた。息をのむような砂漠の絶景が眼下に広がった。

 若い学生たちは砂スキーに挑戦した。何度も来たくなるような魅力ある地だが、全輪駆動車でないと来られない秘境でもあった。

(S)