率直な発想と探求心表現、秋田市児童生徒作品展

 先日、秋田市文化会館で開かれた「第66回秋田市児童生徒作品展覧会」(主催秋田市教育委員会)には、9部門、1000点を超す作品が展示された。小中学生の率直な発想と探求する心、表現する力がよく表れている。(伊藤志郎)

ユニークな夏休み自由研究9部門1000点超の作品が展示

 夏休みの自由研究から選ばれた作品を一般に公開する催しで、誰でも自由に見ることができる。理科、社会、作曲、書写など9部門。小学校42校、中学校9校から1109点が出品された。

率直な発想と探求心表現、秋田市児童生徒作品展

(左上から時計回りに)表紙を図工で表現、各地のマンホール調査、紙やスプーンが素材のロボット恐竜、スイカなどの平面絵画

 全般的に、作品は身近なきっかけからスタートしている。

 生活、家庭部門では、スーパーに行き母親が「にがりと豆乳があれば家でも豆腐ができる」と教えてくれたので豆腐作りにチャレンジした記録。「野菜の廃棄部分を使って布を染める」「秋田名物ババヘラ大調査」「『干したから』の本に興味を持ち大根、人参、ミニトマトを実際に干した内容」などが、模造紙やファイルに表現されている。

 おばあちゃんの家のふきんが面白い模様で「刺し子」だと教えてもらった小6女子は、模様の多様さに驚き縫い方に挑戦した。

 父親が釣ってきたクロソイなどの魚を魚拓に取り解説したのは小2女子。会場に一緒に来た父親は「釣るのを頑張りました」と頬を緩ます。親子の交流にもなっている。

 理科もユニークだ。カブトムシやアリ、ハムスターの飼育記録は定番だが、「モンシロチョウの一生を見守った」小3男子の着目点に目が留まった。チョウが飛んでいる所にキャベツの葉っぱを置き7日目に卵を発見。羽化するまでの27日間の観察記録をつけた。「成虫になってもエサをあげていたら、朝にがしても夜にまたもどってくるのでびっくりしました」という、すてきな感動体験が添付されている。

率直な発想と探求心表現、秋田市児童生徒作品展

夏休みの自由研究作品を展示した第66回秋田市児童生徒作品展覧会=秋田市文化会館

 題材が何もないならば、近くの公園の動植物を丸ごと調べた記録は参考になる。幾つかの砂浜で拾った貝殻、海藻、ごみ、シーグラスなどを比べた調査記録も。

 現代的テーマも幾つか。プラスチックごみ、吉田投手の直球はなぜ浮いて見える、イージス・アショア 賛成派? 反対派?、2050年の世界、ツバル、バングラデシュなど。インターネット検索と写真が調査・表現を豊かにしている。

 東京オリンピックの自作の旗布、秋田竿燈まつりの歴史、なまはげ、家族と家から学校までの防災散歩、各地のマンホール調査も興味を引いた。

 小4男子は三陸復興応援ツアーに参加。被災地の南三陸町を訪れ、「100人いれば100通りの震災がある」と感じ新聞形式に。

 県外から移住して無農薬農業を始めた夫婦へのインタビュー(小6女子)は、授業の成果が出ているようだ。

 一方、図画・工作は夏休み自由研究の定番。貝殻、新聞、木の枝、ビーズなどでどれだけ自分らしさが表現できるかが課題だ。

 小枝や松ぼっくり、枯れ葉で作った「木のおうち」(小2女子)。紙と洗濯バサミ、ダブルクリップ、プラスチックのスプーンとストロー、ペットボトルのふたで作った全身真っ黒の「地球に優しい きょうりゅう」(小4男子)は、シンプルな造形ながらロボット恐竜らしさがよく表現されていた。

 黄、赤、銀、青色で塗装された長さ20㌢ほどの「未来のスポーツカー」(小3男子)。見に来た夫婦は「孫は奇抜な色遣いをするので面白いんです」と言いながら、うれしそうに写真に収めていた。

 図画は作品数が多い。同じ花火でも、貼り絵、クレヨンと水彩絵の具の組み合わせ、削り出しと技法はさまざま。毛糸と着色卵殻とボタンで描いた「星月夜」(小6女子)。一見すると花の切り絵かと思いきや、ウサギやハクチョウ、ヤモリなどを隠れ込ませた「かくれんぼ」(小6女子)には、ユーモアのセンスを見た。