「うっかり」が招く悲劇
地球だより
米国では、たとえ短時間でも子供を車内に放置することを多くの州が禁止するなど、子供の安全対策は徹底されている。それにもかかわらず、暑い季節に子供が車内に取り残され、熱中症で亡くなるニュースは意外なほど多い。
最近では、南部テキサス州で1歳の男の子が父親の働くレストランの駐車場で車内に約5時間、放置されたことで死亡した。その日の気温はセ氏32度に達し、車内では57度を超えていたと考えられている。こうした事故で亡くなった子供は、今年すでに16人に上るという。
非営利団体「安全性評議会」によると、1998年に記録を始めて以来、800人以上の子供たちがオーブンのような高温の車内に取り残され亡くなった。毎年、平均で38人が死亡しているという。しかも、2017年は43人、18年は52人と、近年は増加傾向だ。
このうち、保護者が車内にいる子供を忘れていたケースは54%だという。わが子の存在を「うっかり」忘れて死なせてしまうことが、意外なほど多いことに驚かされる。その原因として、ストレスや睡眠不足、同時に複数の仕事を抱えた状態にあったことなどが指摘されている。
日本では夏に親がパチンコなどに熱中している間に子供が亡くなるケースが問題となるが、いずれにしても、取り返しのつかない悲劇であることには変わりない。2人の幼い子を育てる筆者も他人事(ひとごと)ではないと自戒しつつ、安全に注意を怠らないようにしたい。
(Y)