両陛下、沖縄への思い変わらず
「最後」の訪問終えられる
天皇、皇后両陛下は29日、2泊3日の沖縄県訪問を終えられた。通算11度目で「在位中は恐らく最後」(側近)の沖縄の旅は駆け足だったが、戦没者を慰霊し、日本最西端の与那国島にも足を運んで島の生活や文化に触れられた。太平洋戦争末期に県民を巻き込んだ地上戦が起き、戦後も本土と分離され苦難の道を歩んだ沖縄に長年寄せた思いが凝縮された旅となった。
両陛下は今回も沖縄入り後真っ先に本島南部の慰霊施設を訪れ、待ち受けた遺族らと対面。皇后陛下は脚に痛みを抱えるが、戦没者の妻(98)の前ではかがみ込んで「大事にお過ごしください」といたわられた。
2日目は日帰りで与那国島へ。在来馬「与那国馬」の見学は幼い頃から馬に親しんできた天皇陛下の希望といい、陛下はうれしそうに馬の頭をなでられた。島に伝わる踊りや水揚げされた巨大なカジキも見学し、島の人々と笑顔で交流。日本最西端の地「西崎(いりざき)」にも初めて立たれた。
陛下は象徴としての立場から、遠隔地や離島を大切にし、これまで50以上の島を訪れられた。8月には北海道利尻島への訪問が検討されている。
1975年の沖縄初訪問の際、「ひめゆりの塔」で過激派に火炎瓶を投げられた陛下は「この地に心を寄せ続けていく」とお誓いになった。
それから43年。退位を控えた両陛下を多くの県民が温かく出迎えた。翁長雄志知事は「多くの県民が両陛下に寄り添っていただいたことのありがたさをじわりじわりと受け止めている」と県民感情の変化を解説した。
両陛下の側近は「沖縄の歴史に向き合い、文化に触れることが大事とのお考えは今も全く変わっていない」と話している。