観光客狙う睡眠薬強盗
地球だより
マニラ首都圏で悪名高い「睡眠薬強盗」をご存じだろうか。現地に住んでいると耳タコ状態なのだが、依然として被害者が出ているので、ここで注意喚起したい。
睡眠薬強盗は現地で「アティバン・ギャング」と呼ばれている。犯行にアティバンという睡眠薬がよく用いられるからだ。万が一、現地で被害に遭った場合は、英語ができなくてもアティバン・ギャングと言えば警察は即座に理解してくれるだろう。
犯行の手口は実にシンプル。一人旅の外国人観光客に親切を装って声を掛け、案内すると申し出る。次は食事に誘い、そこで飲み物や食べ物などに睡眠薬を盛り、意識を失ったスキにキャッシュカードを盗んでATMから現金を引き出すのだ。被害者はそのままタクシーでホテルに送り返され、夢から覚めると本当の悪夢が待ち構えているという具合だ。
まず言っておきたいのは、普通のフィリピン人は意外とシャイで、進んで外国人に話し掛けてくる人はまずいない。外国人に積極的に近寄ってくるのはバーの呼び込みやホームレス、そして睡眠薬強盗だけである。
対策は在比日本大使館が注意を呼び掛けているように「片言の日本語で話し掛けてきても、優しそうに見える人でも、家族連れであっても、見知らぬ人に誘われるままについて行かないように」ということに尽きる。だが、現地馴(な)れしていない観光客にはなかなか判断が難しいようだ。
(F)