野党第1党で、かつて政権を担ったこともある…


 野党第1党で、かつて政権を担ったこともある民進党が、一夜にして実質的に解党し、小池百合子代表率いる「希望の党」に駆け込むという前代未聞の椿事が起きている。野党党首自らが政党政治を否定する挙に出たのだ。世も末と言うべきか。

 「どんな手段を使っても安倍政権を止めないといけない」と前原誠司代表は強調する。レトリックもあるだろうが、目的のためには手段を選ばず、と躊躇いもなく言うのは、政治家としてかなり危うい。中国の反日暴徒の「愛国無罪」を思い出す。

 しかしそれ以上に驚くのは、そんな代表の提案が、民進の議員総会では特に異論もなく了承されたことだ。安保法制に反対した彼らが、安保法制や憲法改正を支持する政党に合流することに、恥ずかしさを感じないのか。

 理念の異なる議員たちが反自民というだけで集まっていた政党の本質が露わになったということか。所属議員の離党ドミノで沈みかける船の船長が、みんなで他の船に乗り移ろうというのだから、移るに如かずということなのだろう。

 だが新造客船「希望」号の小池船長は、船から飛び出した乗客を全員無条件で救出する考えは「さらさらない」と言う。「私たちの政策に合致するかどうか、さまざまな観点から絞り込みをしたい」らしい。

 それは確かにそうだろう。全員を救助すれば、そのうち船内の秩序を乱し、船の針路までおかしくしかねない不穏分子が出てくることもあるから。