学習指導要領改定と動物飼育活動
全国学校飼育動物研究大会 問われる教師の指導方法
全国学校飼育動物研究大会がこのほど、東京都文京区の東京大学弥生講堂で「新学習指導要領の求める命の教育の実践」をテーマに行われた。文部科学省初等中等教育局の渋谷一典氏は「生活科」「総合的な学習」の教科調査官の立場から、今回の学習指導要領の改定について動物飼育活動と「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)について語った。
文科省の渋谷一典氏講演
10年に1度、行われている学習指導要領の改定で、変化の著しい、予測困難な今後の社会を生き抜く子供たちを育てることを目指している。通例、改定時には文部科学大臣の諮問を受け、教科ごとに分かれ、専門家による作業に入るが、今回は全体部会を開き、どのような改定にするかという全体像から作業に入った。学習の質を一層高める授業改善の取り組みを活性化していくために「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を推進することとしている。
生活科の指導に当たっては、目標にしている「知識及び技能の基礎」が習得されること、「思考力、判断力、表現力等の基礎」を育成すること、「学びに向かう力、人間性等」を涵養(かんよう)することの三つが偏りなく実現され、年間計画や単元の指導計画を見通しながら、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改革を進めることが重要だ。
主体的に学習に取り組めるように、学習の見通しを立てたり、振り返って自分の学びや変容を生徒が自覚できる場面をどのように設定するか、対話によって児童・生徒の考えを広げたり、深めるために、児童・生徒が考える場面と教師が教える場面をうまく、組み立てる必要がある。
具体的な活動や体験をする中で、生活科固有の「身近な生活に関わる見方・考え方」を生かすことが大切である。自分と地域の人々、社会および自然との関わりが具体的に把握できるような学習活動の充実が一層求められる。
今回の学習指導要領の改定においても、「動物の飼育・植物の栽培」を行うことが強調されている。具体的事象に接する機会が少なくなってきた現代の子供に、飼育・栽培を通して、成長の様子に関心・親しみを持ち、心を揺さぶられるような、命の大切さなどを感じ育て、生涯にわたって、生活を豊かにすることを目指している。
一時的、単発的な触れ合いではなく、季節を越えた飼育活動で、長期にわたる成長過程の観察をするための指導方法の工夫が教師に問われる。「これまで教育現場で培ってきたものは継続して充実させていき、一つの教科にとらわれず、教科横断的に行うことを目指してほしい」と渋谷氏は強調した。






