ラマダンはひとときの和平の場
地球だより
24日夜、約1カ月続いたラマダン(イスラム教の断食月)が終わった。イスラエルのイスラム教徒の人口は148万8000人(2015年イスラエル中央統計局調べ)で、イスラエル人口の18%。ラマダンはイスラム教の戒律の一つだが、普段はあまり戒律を守っていない人まで断食している様子を見ると、伝統といった感が強いのか。
ラマダンの断食は、日の出と共に始まり日没と共に終わる。断食中は水はおろか自分の唾さえも飲み込んではならない。そのため、夏の乾期に行うラマダンは困難を極め、脱水症状で救急車を呼ぶケースも少なくない。
それでも、「ラマダンの時期が一番好きだ」という声をよく聞く。
一日の断食を終えて、家族や親戚がごちそうを囲む。夜中まで飲んだり食べたり、どこの家もにぎやかだ。毎日がお祭り状態だ。
イスラエルでは、多くのアラブ人がユダヤ人と共に仕事をしているため、ラマダン期間中は、労働時間が配慮され、夜間に仕事することが許されている会社もある。
また、イフタールという断食明けの食事に、ユダヤ人やクリスチャンの友人が招待されることもある。
記者の友人のユダヤ人が、イスラエル・アラブ(イスラエル国籍のアラブ人)の国会議員宅のイフタールに招待された。家族に温かく迎えられ、誰もが平和に暮らせる未来について夢を語り合ったという。
イスラエルのラマダンは、イスラム教徒だけのだんらんの場ではなく、民族、宗教を超えた交流の場にもなっている。
(M)