地ビールブームに沸く
地球だより
ここ数年、米国の地方都市を訪問する中で気付いたことがある。昼食や夕食で、ビール醸造施設付きのレストランに招待されることが多いのだ。こうしたレストランでは、独自醸造のビールが売り物。それ以外にも米国各地の地ビールがメニューを賑(にぎ)わわせている。
米国は空前の地ビールブームに沸いている。米国では地ビールはクラフトビールとか呼ばれ、小規模なビール醸造所でビール職人が作るビールを指す。米国では1978年にホームブリュワーズ(自家醸造家)協会が設立され、1980年代からの世界的な地ビール流行の火付け役になった。
日本でも、1990年代にビール業界の規制が緩和され、地ビールブームが起こって醸造所が300社以上に増えた。2003年以降はブームが沈静化し、醸造所も現在200社前後になっている。日本でもブームが復活しつつあるが、米国は桁が違う。米国の地ビール醸造所は昨年末で、4100社以上だ。地ビール販売量は過去10年間で4・5倍に増え、年間約200億㌦でビール全体の生産量の11%に達する。ホームブリュワーズ協会は2020年までにビール市場全体で20%のシェアを目指す。ちなみに、日本での地ビールのシェアは1%に満たない。
米国では酒税は大手が売価の7・5%、小規模醸造所が売価の3・5%であるのも、追い風になっている。中小醸造所と協業して、原材料ホップの仕入れ、醸造設備の整備、醸造後のボトリング、流通など幅広い支援を提供するビジネスも盛んになっている。
(K)